呼吸は通常では意識をしていませんが、強く吸ったり吐いたり又は止めたりと自由に出来ます。
この呼吸をコントロールして身体の管理もある程度可能となってきます。
胸郭は背骨と肋骨と胸骨で取り囲まれ、下の方からエアスプレーの底のように丸く塞がった
横隔膜の収縮により底の丸みを無くして胸郭を広げ(吸う)、弛緩によって吐いています。(主動筋)
また肋骨についている小さな各筋肉も横隔膜と共に胸郭を広げたり縮めたりして協力しています。(協力筋)
この他にも胸郭に付いている首・肩・胸・腹・背・腰の各筋肉が補助しています。(補助筋)
横隔膜の働きが弱いと、補助筋等への負担が大きくなります。
肋間筋の緊張で肋間痛、首にある斜角筋群や後頸部の緊張で手や頭部に影響し、
肩甲骨に付いている筋群の緊張は肩等の障害を引き起こす事があります。
また、背中や腰の筋群も過緊張となり足にまで影響していきます。
逆にいうと、呼吸により身体をある程度コントロールできるという事です。
最近、鼻で呼吸をしない人を多く見ます。
口だけの呼吸は、後頚部の筋が緊張して吐くことが不得手です。
もっと吸おうとして背中も緊張してきます。
鼻呼吸はこれを防ぎ、肋間や首の筋肉が適度に伸縮され血液循環を促し、肩こり解消にもなります。
背筋を伸ばして頭の”つむじ”が天井に伸びる感じで、
顎を引き奥歯をしっかり噛んで鼻から吸い、口を軽く緩めると口から抜けていきます。
奥歯の弱い人はしっかり噛めませんが、口と鼻を横に広げるような表情を作って吸います。
このときの注意点は、重心が後ろに行かないように足の指に力を入れ、背中を反らさない事です。
通常、仰向けに寝てお腹を触ると吸った時にお腹がふくれます。これが腹式呼吸です。
仰向けで、この腹の上下を意識して行なうことにより腹式呼吸の訓練になります。
但し、お腹を膨らますために、肩背とお尻を支点にしてブリッジ状にお腹を膨らませてもだめです。
腰を痛めるのが落ちです。お腹を膨らます分、腰が浮かないように腹筋の力が必要となります。
起きてやる時は、前述の鼻呼吸の姿勢で下腹部を意識して吸うほどに腹に力を入れ腹圧を掛けます。
その圧をゆっくり緩めると息が自然に抜けていきます。
とりあえずは、肩首や手足に力が入ったときはもう息を抜くタイミングだと思ったほうがいいです。
また、特に口呼吸の人は胸郭が広がりすぎているので、
最初に溜息をつくか、2~3度に分けて腹を使って息を吐いてからのほうがやり易いと思います。
この呼吸によって自律神経が安定し全身の血行を促します。
腹筋は、強く吐く時に肋間筋と共に肋骨を引き下げるよう働きます。
また、腹式呼吸の吸気つまり横隔膜収縮時には動きのある肋骨を起点にしているので、
その肋骨を固定するため腹筋が重要な働きをします。
みぞおちの骨(剣上突起)が尖って出ている人は横隔膜の位置が高すぎ、胸部を圧迫しています。
逆に、その骨が全然触れない人は横隔膜の位置が低く、内蔵下垂となります。
これをコントロールするのは腹筋と肋間筋です。